心理学ブログ

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ゲーム障害やネット依存などの依存を中心に、30代半ばの中堅公認心理師(臨床心理士)が心理学の知識や関連する話題などについて書いていきます

重要なのは数!ストレスをうまく対処するためのコーピングリスト作成のコツ

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 ストレスマネジメントとは、ストレスの原因を知り、その原因やストレス反応に対処する方法や考え方のことです。
 自分にとってのストレスの原因を知り、自分に出ているストレス反応を少しでも早く自覚し、様々な方法で対処できるようになることを目指します。
 人が生きていく上でストレスと無縁ではいられませんが、対処方法と考え方を使ってうまくストレスと付き合えるようになりましょう。 

ストレスとは

 ストレスは元々、「外側からかかる力による物体の歪み」といった意味で用いられていました。
 それが現在、私たちが用いている意味でストレスという言葉を最初に用いたのはオーストラリアの生理学者であるハンス・セリエ(Hans Selye)と言われています。
 一般的には、ストレスの原因も、ストレスによって引き起こされる反応も「ストレス」と言いますが、ストレスの原因のことをストレッサー、ストレスによって引き起こされた反応のことをストレス反応と分けて言います。
 ストレスはなるべく少ない方が良い物、減らした方が良い物として語られることが多いですが、適度なストレスがあった方が人はパフォーマンスを発揮しやすいと言われています。

ストレスの原因

 ストレスに対処するためには、まずストレスの原因には、どのようなものがあるのかを知ることが必要です。そして、その中で自分にとってよりストレスとなっている原因を把握することが重要です。

ストレッサーの種類

 ストレッサーにはどのような種類があるのでしょうか?様々な捉え方によってストレッサーの種類も異なります。例えば、以下のような捉え方があります。

職場のストレス要因

  1. 心理・社会的要因
    人間関係、仕事の負担、仕事の裁量度
  2. 物理的要因
    温度(高温、低温)、光、音(騒音)
  3. 化学的要因
    有害物質(排気ガス有機溶剤)、たばこ
  4. 生物学的要因
    細菌、ウィルス、花粉、寄生虫

社会的再適応評価尺度(Social Readjustment Rating Scale:SRRS)

 米国の社会学者ホームズと内科医レイによって1967年に作成された、人々のライフサイクル上に起こるイベントをストレッサーとし、そのストレス度合いをまとめたものです。配偶者の死が100、結婚が50となっています。

ストレス反応

 ストレス反応は、大きく分けて3つの側面に出ます。

  1. 心理的側面
    抑うつ、意欲の低下、興味の減退、不安、緊張、イライラ、焦燥感など
  2. 行動的側面
    能率の低下、アルコール依存、過食など
  3. 身体的側面
    頭痛、動悸、息切れ、下痢、便秘、食欲不振、不眠、腰痛、高血圧など

 人によって出やすいストレス反応の傾向があります。例えば、ストレスがかかるとまず頭痛がする人は他のストレスがかかった時にも、頭痛がまずストレス反応として出ることが多いです。
 自分の出やすいストレス反応を覚えておくと、ストレス反応を軽症のうちに早期発見しやすくなります。

コーピング

 ストレスへの対処方略のことをコーピングと言います。コーピングの種類は大きく分けると、問題焦点型コーピング情報焦点型コーピングの2つがあります。

問題焦点型コーピング

ストレッサーに対して働きかけ、それ自体を変化させて解決を図ること。

  • 家族や友人、同僚、先輩、専門家などに相談する
  • 何がストレスになっているのかを分析し、そのストレスを軽減するように働きかける
  • 人間関係や環境から遠ざかる
  • 問題解決を図る

 例えば、職場の同僚との関係がストレッサーであれば、同僚や上司に相談する、同僚との関係がうまくいっていない原因を分析し、対策を考えて実行する、異動願を出すといったことが考えられます。

情動焦点型コーピング

ストレッサーに対して働きかけるのではなく、自分自身の考え方、受け止め方を変えることでストレスを軽減すること。

  • 気晴らしに好きなことをする
  • 友人に愚痴る
  • 深呼吸する
  • 仕方がないと割り切る

コーピングリスト

 ストレス反応が出た時に、自分のコーピングは何かを考えて実行するのは大変です。そのため、自分自身がすでにしているコーピングを書き出し(またはスマホにメモして)、リストにしておくと、ストレス反応が出た時にそのリストの中から選んで実行しやすくなります。

コーピングリスト作成のコツ

  • たくさんのコーピングを書き出す
  • なるべく具体的にする
  • 時間、労力、お金があまりかからないものにする

  コーピングの候補がたくさんあった方が、このストレスにはこのコーピングを試すというふうに選びやすくなりますし、このコーピングでうまくいかなかったから、こっちのコーピングを試してみようといろいろと試しやすくなります。
 コーピングをたくさん書くためのコツは細かくすることです。例えば、以下のような感じです。

 ①ディズニーランドに行く

 ディズニーランドに行くのがストレス発散だとしても、ストレスが溜まるたびにディズニーランドに行くというのは時間的、金銭的に難しい。1デーパスポート(大人)で7500円です。【公式】東京ディズニーランド | 東京ディズニーランド

 これを細かくすると以下のようになります
 ①ディズニーランドに行く予定を立てる
 ②ディズニーランドに行く
 ③ディズニーランドに行った時に撮った写真を見返す
 ④ディズニーランドを紹介しているブログを見る
 このように細かくすると、コーピングの数が増えますし、お金や時間がそんなにかからないで行いやすいものになりました。④ディズニーランドを紹介しているブログを見る、についてはブックマークしておくとさらにやりやすくなります。ストレスで疲れている時にわざわざディズニーランドを紹介しているブログを探すのは大変ですからね。細かくして、具体的にしていくと、お金も時間も労力もそれほどかからない、やりやすいコーピングリストができると思います。

 ストレスが溜まった時にコーピングリストの中から意識的にコーピングを選ぶようにすると、ストレスAにはこのコーピングをする、ストレスBにはこのコーピングをするというふうに、傾向が出てきます。
 例えば、仕事でミスをした時にはこの音楽を聴く、家族と喧嘩をした時にはこの音楽を聴くといったようなことです。
 このように、同じ”音楽を聴く”でも、ストレスによって聴くアーティストや曲調などが異なるかもしれません。その傾向を把握するためにも、具体的に細かくして書いておいた方がいいでしょう。

まとめ

 ストレスの多い現代社会において意識的にストレスを対処することはとても重要です。対処をするためには、以下のことが重要です。

  • 自分のストレッサーを把握する
  • 自分のストレス反応の傾向を知る
  • 様々なコーピングで対処する

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