心理学ブログ

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ゲーム障害やネット依存などの依存を中心に、30代半ばの中堅公認心理師(臨床心理士)が心理学の知識や関連する話題などについて書いていきます

オンラインカウンセリング始めました

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 緊急事態宣言により対面カウンセリングを一時中止していました(5月7日から再開)。このコロナ禍による外出自粛はおそらくある程度継続していくのではないでしょうか。
 このような状況下ですので外出せずにカウンセリングが受けられるように、当オフィスではオンラインカウンセリングを始めました

 オンラインカウンセリングと聞くと、あなたはどのような印象を持ちますか?
移動がない分ラク、直接会うより気軽に申し込めそうと良い印象を持つ人もいれば、直接話すのに比べると話しにくそう、カウンセリングって直接会って話すから大事なんじゃないの?と、少し抵抗感がある人もいると思います。
ですが、オンラインカウンセリングを始めてみてのあくまでも個人的な感想としては、対面カウンセリングとは異なるという点ももちろんありますが、思っていたよりも対面でのカウンセリングと変わらないなという実感です。

オンラインカウンセリングは対面カウンセリングとは違う?

 上記にも書きましたが、カウンセリングを受けようかと考えている人の中には、このコロナ禍で外出することが出来ない人もいます。

例えば、

・会社から自宅待機を命じられている
・リモートワークになって、いつ会社から電話がかかってくるかわからない
・子どもや家族が、学校休校、在宅勤務になって家にいるから出られない
・カウンセリングオフィスまでの移動によって新型コロナに感染するのが怖い

 このような人達にはオンラインカウンセリングというのは非常に便利なツールになります。
 しかし、オンラインでのカウンセリングだと、実際に会って行うカウンセリングと違うのではないか、話しにくいんじゃないかと思って、カウンセリングを受けるハードルがさらに上がって、カウンセリングへの申し込みを躊躇している人も少なくないでしょう(そもそもカウンセリングを申し込むことへの心理的ハードルが高いと言われています)
 また、オンラインカウンセリングに申し込んでもらうハードルを上げている要因はカウンセラー側にもあるのかもしれません。
オンラインカウンセリングが多くのところで始められたことで、様々な形でカウンセリングの対面とオンラインという形態の違いによるメリット・デメリットが情報発信されるようになりました。
 その中でも、対面でのカウンセリングに比べて、オンラインカウンセリングでは非言語コミュニケーションの情報が少なくなってしまう(変わってしまう)ことが言われています。
具体的には、

  • カメラの画角の範囲しか見えない
  • カメラやディスプレイの性能によっては表情やしぐさが見にくい
  • マイクやスピーカーの性能によっては声の聞こえ方が変わってしまう
  • 声の大きさをPCの音量で変えられてしまう

 非言語コミュニケーションとは、言葉以外の手段により行われるコミュニケーションの事です。
五感に分けて説明すると、
・視覚:表情、顔色、視線、まばたき、明るさ
・嗅覚:香り、におい
・味覚:味
・触覚(身体):うなずき、ジェスチャー、しぐさ(腕や足を組む、髪やあごを触る)、呼吸、握手、温度、湿度 
・聴覚:声のトーン、大きさ、明瞭さ、抑揚、声質
・五感以外:服装、化粧、アクセサリー、距離感、位置関係

 例えば、PCのディスプレイの明るさや色味の設定を変えると、顔色が変わって見えますし、音量を大きくすれば、小さな声で話していたとしても大きく聞こえます。
 この点は非常に重要な点で、どうしても対面カウンセリングに比べると損なわれるところではあります。しかし、このようなデメリットの強調によって、カウンセリング申し込みへのハードルが上がってしまっているのであれば、それはもったいない気がします。

オンラインカウンセリングを最近始めたカウンセラーの実感

 一言で言うと、思っていたよりも対面でのカウンセリングと変わらないな、より正確に言うと、対面カウンセリングとは異なる部分もあるけど、オンラインカウンセリングとしての良さがあるだろうというのが、これまでの実感です。主な実感は以下の3点です。

①画面に見えている部分に集中できる

 当オフィスは面接室が3部屋あり、椅子とテーブルのお部屋と、ソファのお部屋があります。面接室の様子はこちらをご覧ください。
相談室内のご案内 やまき心理臨床オフィス 
 ソファの部屋の場合、座っているほぼ全身が見えます。しかし、オンラインカウンセリングだと、ほとんどの場合、上半身しか見えません。人によっては肩くらいまでしか見えない人もいます。手も下げていると見えないことが多いです。
 姿勢やボディランゲージといった体の動きも非言語コミュニケーションの大切な一部なので、見えないことはデメリットにもなります。しかし、見えない部分があるからこそ、PCの画面に見えているクライアントの表情により集中できるという側面があるように感じます。
 ”見えていないもの”をいくら気にしても見えるようにはなりません。”見えていないもの”があるからこそ、見えている部分をより見ようとするという良い面もあります(もちろん、見えていないものがあるという認識を忘れないことが大切です)

②どのように見えているかにより意識がいく

 身振り手振りで説明する時は、画面を通してみることを意識してよりわかりやすい表現を考えるようになります。

③聴くことをより意識する

 マイクやスピーカー、通信環境が良ければかなりクリアに声は聞こえますが、それでもやっぱり生の声とは異なります。そのため、いつもよりも聴くことに意識がいきます。

 気を付けないといけない点

 やはりオンラインカウンセリングには対面カウンセリングにはない、気を付けないといけない点がいくつかあります。
 これらのことをしっかりと意識しながら、オンラインカウンセリングを行うことが重要です。

お互いの使用機器 

 マイク、カメラ、ディスプレイ、通信環境などによって、見え方や聞こえ方が大きく変わってしまいます。

今までであれば、

カウンセラーの声⇒クライアントの耳

と届いていた声が

カウンセラーの声⇒カウンセラー側のマイク⇒クライアント側のスピーカー⇒クライアントの耳

と届くことになります
対面のカウンセリングにはなかった、聞こえ方に影響する要因が多くあるため、それらを知っておくことが大切です。

部屋の環境

 自宅にいて話す方がリラックスできて話しやすい側面もあるかもしれませんが、当オフィスまで来て、オフィスの面接室で話す内容とは異なるかもしれません。視界に入るものが自分の部屋だと、ふと目に入ったものに影響されて話すことが変わることもあるかもしれません。

ツールの準備

 パソコンを立ち上げたり、使う通話ツール(Zoom、Google Meet、Skype等々)によっては事前にダウンロードが必要なものもあります。初めて使う時は「ちゃんと繋がるだろうか」という心配もあるかもしれません。

今回のまとめ

  • 対面カウンセリングとオンラインカウンセリングには異なる点がある
  • 異なる点を意識しながら行うことが重要
  • 自宅にいながらカウンセリングを受けられる点が最大のメリット

 対面カウンセリングとは異なる部分ももちろんありますが、このような状況ですので、カウンセリングを受けたりけど、移動して行くのはちょっと・・・、という方はオンラインカウンセリングをお申し込みください。

www.yamakioffice.com