CRAFTを含めたひきこもり支援の研修
ある程度日にちが過ぎてしまいましたが、先日受講した研修が非常に勉強になったので、自分の備忘録と情報の共有のために久しぶりにブログを書きたいと思います。
日本心理臨床学会の「CRAFTを含めた”地域で取り組む”ひきこもり支援」というオンライン研修を受けました。
CRAFTは、Community reinforcement approach and family trainingの略語で、元々は物質使用障害(アルコールやドラッグ)の本人と家族への行動療法アプローチの1つです。それが、最近ではゲーム依存やひきこもりへの支援の方法としても広がっています。特にひきこもりへのCRAFTは日本独自の広がりを見せているようです。それだけ、ひきこもりが世界的に見て日本特有の、そして大きな問題となっているということですね。
研修の内容
今回の研修「CRAFTを含めた”地域で取り組む”ひきこもり支援」からもわかるように、CRAFTだけではなく、他の様々な方法を含めたひきこもり支援についての話がありました。
- ソーシャルワーク的視点
その人やその家族の状況やライフステージ、ニーズ等によって長期スパンで繋がり続けることを目的としたアプローチ
他のひきこもりに関する研修でも社会資源の話などは出てきますが、ソーシャルワーク的視点に力点を置いて話すのはちょっと珍しいですね。
- 行動療法的アプローチ
家庭の状況、本人や家族の言動、その結果をオペラント条件付けの三項随伴性(応用行動分析)で説明をしていました。今までいくつものひきこもりの研修に参加したり、本を読んだりしてきましたが、ここまでわかりやすく端的に応用行動分析で説明しているのは初めてでした。
オペラント条件付けをごくごく簡単に説明すると、以下のようなことです。
・ある状況で、ある行動をした時に、報酬(強化子)が得られると、その行動を多くするようになる
・ある状況で、ある行動をした時に、罰(嫌子)が与えられると、その行動をすることが減る
この考え方を応用しながら、家庭の中で起こっている本人と家族の言動やひきこもりが維持されている要因をアセスメントし、親のどの行動を変化させ、強化子を呈示するのか説明されていました。
- 家族療法的視点
講師の先生はおそらく上記の行動療法的視点で親子のコミュニケーションの連鎖を話していたのだろうと思いますが、その説明は聞きようによっては、家族のコミュニケーションを扱う、家族療法的視点のように聞こえたのは面白かったです。
著名な先生方は、心理療法の流派やオリエンテーションが異なってもやっていることや言っていることは共通していると言われますが、ひきこもりの支援の研修で、行動療法的アプローチと家族療法的アプローチの相似点が感じられたのは思いがけない収穫でした。
CRAFTを応用したひきこもりの家族支援
上記の内容が前半で、後半部分の多くはCRAFTを使った支援の話が中心でした。仮想事例を使って、本人への対応の悪い例とCRAFTを使った良い例を紹介し、それが応用行動分析的に見ると、何が強化子となり、何の行動を強化しているのか説明していました。
CRAFTとオペラント条件付け(応用行動分析)の基礎知識がないと研修の内容を理解するのはなかなか難しいと思われるほど、内容が濃かったです。
CRAFTと応用行動分析を組み合わせて使うと、アセスメントにも役立ちそうだし、ご家族への説明にも使えるような気がします。
もちろんそれは、ひきこもり支援ではなく、ゲーム依存やネット依存の子どもとそのご家族への支援にも非常に使いやすいと思います。あと、関係機関との情報共有や連携もしやすくなるのではないでしょうか。
まとめ
今回の研修で学べたことをまとめます
- ひきこもり支援への多角的視点
- 行動療法的アプローチと家族療法的アプローチの相似展
- CRAFTと応用行動分析の組み合わせ
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